手づくり建築工作舎

- 瀧澤邸 -

2023.06

東京都葛飾区の二世帯住宅。新しい家を建てることで生活を刷新するのではなく、旧家にあった良さ、失われてしまった下町らしい風景を継承することを考えました。

旧家および祖父母の家は、元々2棟だった木造平屋を玄関土間を介して1棟につなげたもので、昭和初期頃までよく見られた増築の手法で作られていました。この広い玄関が部屋同士の緩衝空間となり、各部屋に居ながら他の家族の様子が距離を保って感じることができる良さがあり、本計画にも継承しています。

アプローチ 路地や縁側といった失われてしまった下町らしさを敷地内に引き込むことで復元
アプローチの先の中庭 プライベートな空間のためカーテンを開けて採光・換気が各部屋とも十分確保可能
1階LD 庭の中に張り出した東屋のような空間で、育てた緑を眺めながら寛ぐことができる

内外仕上げに用いている丸太材は、合板工場で産出される廃材を利用しました。合板は構造材が取れない細い材木を桂剥きにして、シート状にしたものを貼り合わせて作られます。その際に剥きのこる芯の部分(直径約50mm)は通常は燃料として燃やされますが、その芯材をトラックをチャーターして運びこみ使用しました。合計約600本もの材料が用いられています。

1階LDと寝室

玄関の顔となる正面の階段は、腕利きの大工さん達と共に、純木製ながら軽やかな納まりを開発しました。構成する各材料を組木のように嵌めあわせることで、階段の表と裏(写真の左側と右側)が全く同じ見た目となるようなデザインとなっています。

2階階段ホール 中庭からの光が差し込む窓辺は物干しを設けた家事スペースを兼ねる
2階LDK 階段室とさらに奥に見える個室へと視線がつながり広がりを感じる空間
2階寝室と客室 窓周りを中心に木材を使用して温かみを感じる空間を目指した

丸太材のような通常住宅では使われない材料をインテリアに用いたため、取り付ける照明器具についても検討を重ねた結果、新たにデザインし製作することとしました。丸太材の径に合わせた50mmのアルミパイプ材を基本に、電球や配線器具を手元で組み合わせて製作しています。

外構については、コストダウンとオリジナリティを出すために庭師さんと施主と共同で手作りしています。建築と同じ丸太材の使用、色味を合わせた門扉やポスト、旧家のブロック塀を解体して敷き詰めた舗装等、個性的な仕上がりとなっています。

中庭夕景 各部屋から漏れる光が迎える

プロジェクト種別 / 新築 – 戸建て住宅(2世帯)

プロジェクト名 / 瀧澤邸

所在地 / 東京都葛飾区立石

構造規模 / 在来木造 3階建て

敷地面積 / 166.32㎡

延べ面積 / 166.55㎡

竣工 / 2023年4月

構造設計 / 坂田涼太郎構造設計事務所

施工 / 北村住建株式会社

造園 / げべ(田中憲)